リトローザの店長の嘘(続き)
店をやめてしまった人のことをとやかくいっていても始まらない。
とりあえず前向きに考えていかなきゃ。
店長に「新しい人とか募集とかしたの?」って尋ねてみる。
でも、そんなに簡単に新しい人が見つかるはずはない。
だって、この店、金ちゃんがいることから、もう一人増やして3人体制にしたいって、
ずっと前からいっていけど、全然いい人、というかこのお店にあった人がみつからなかったのをみてきてたから。
そしたら、「うん、今日の午後、新しい人が早速面接にくる予定なんだ」とぼそっと店長。
「えっ!」と俺は一瞬びっくりした。
やっぱり店長、一人ではどうにもならないので、なんとか新しい人いれようと必死なんだ。
そりゃそうだよな~。俺がこの床屋にきて、店長が一人で店やってるなんてことなかったもんな~
そんな風に考えていた。
後は、この店の雰囲気、そして店長と仲良くやれる人がきてくれれば、
とはいえ、金ちゃんくらい店長と気があい、技術もあるような人がそう簡単に見つかるとは到底思えない。
とにかく、ちょっと間があくと、俺から話しかけるようにしていた。
沈黙の時間があると、店長の寂しげな髪の毛をきるハサミの音だけになってしまうから。
そんな時、「カラ~ン、コロ~ン」とお店の戸の開く音が
店長が、「あっ 新しい人がきたみたいだ」って。
果たしてどんな人だろう?
思わず口をふさいでいる熱いタオルが落ちないように、首を横にして入ってくる人を見つめた。
水槽越しにお店の中に入ってくるのが見える、結構背が高い渋い感じの人である。
「こんちは!」
「えっ!?」
「金ちゃん????」
店長が「今度新しく来てもらうことになった人です。よろしくお願いします!!」って。
「なんだよ、これ! ふざけんなよ!!!!」
店長は大爆笑。金ちゃんはなんのことかわからず「きょとん」としている。
金ちゃんは丁度お昼ご飯を食べにいっていただけだったのである。
「なんだよ~、ほんとに心配しちゃったじゃんか~」とあやうくうれしくてなみだ目になりそうなのを抑えていうと。
「いや~、えーちゃんが入ってきて、「金ちゃん、いないのって?」聞くから、
「お昼食べにいってる」って答えじゃ面白くないから、「やめた」っていったら、けっこうはまったね。
俺って演技力ある?」って店長。
「い~かげんにしてくれよ~」というと。
「いや~、えーちゃん、ほんといい客だよ。ほんとに心配してくれてたもんね」だって。
ほんとに、久しぶりにいっぱい食わされた。
でも、いつもいてくれるはずの人が急にいなくなるってことが、どんなに寂しいことなのか、
一緒に過ごした時間が楽しければ、また、間接的であっても、その楽しい雰囲気の中にいることが心地よければ
それがなくなってしまうことが辛いことなのか、
そして、もう会えないと思った人にまた出会えることがどんなにうれしいことなのか、
そんなことを思いしらされた。
髪を切り終わり、会計をして店を出るとき、「ありがとうございました!」と
店長と金ちゃんがいってくれる言葉が、妙に新鮮で、うれしかった・・・・・。
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コメント
本当にそんなことがあったのかと思って、途中で涙ぐんで損した
投稿: オレも客 | 2006年12月13日 (水) 00時42分
そんな芝居してくれるのは,結構友達レベルまで思ってくれてる証では? リトローザって、結構癒されますよねぇ。
投稿: リトローザ会員No.3 | 2008年3月24日 (月) 09時54分